看護師30代が転職して感じた「変化」とは?
「このままでいいの?」
30代のある日、ふと口をついて出た言葉でした。
看護師として10年。夜勤と残業に追われる毎日をこなしてきたけれど、気づけば30代半ば。体力も落ち、休日はほとんど寝て過ごすだけ。かつては「キャリアを積みたい」と前だけを見て走っていたのに、最近は、仕事から帰っても頭に浮かぶのは別のこと。
「この働き方、あと10年続けられるのかな?」
「看護師として成長するだけで、本当にいいのかな?」
そんな思いが胸の奥でじわじわと膨らんでいきました。
ある夜勤明け、ロッカールームでふと鏡を見た自分の顔に驚きました。やつれた表情、目の下のクマ――「私、こんな顔してた?」と、ショックでした。でも、もっと深く刺さったのは、「このままじゃ将来が見えない」という、漠然とした焦り。
それが、転職を考えたきっかけでした。
初めて転職サービスに登録し、「30代の看護師さんは今とても需要がありますよ」というコンサルタントの言葉に、少しだけ希望の光が差したのを覚えています。「日勤のみ」「残業少なめ」「家庭と両立しやすい」――そんなわがままな希望も、丁寧に聞いてくれたのが心強かったです。
紹介された求人の中から、家から近く、雰囲気が良さそうな外来クリニックを選び、見学へ。面接を受けて、いよいよ転職。
転職後の生活は、驚くほど変わりました。
朝は8時半に出勤、17時に退勤。夜勤なし、休日はしっかり休める。そして何より――時間に余裕ができたことで、「人としての余裕」まで戻ってきたんです。
丁寧にメイクして、コーヒーを飲みながら出勤準備。帰宅後は料理をしたり、ドラマをリアタイしたり、LINEで友達とおしゃべりしたり。「最近、すごく明るくなったね」と言われることが増えました。
転職して、私はこんなふうに変わりました。
- 働き方の優先順位が「収入→生活リズム」に変わった
- 仕事以外の時間を“贅沢”に感じるようになった
- 自分にしかできない働き方を考えるようになった
- 小さな体調の変化に敏感になり、自分を大切にできるようになった
- 「続けられる働き方」が本当の“正解”かもしれないと気づいた
転職には勇気がいります。でも、「もう30代だから」とあきらめる必要はありません。むしろ30代こそが、自分の働き方を見直すチャンスなんです。
私自身、転職を経て、少しずつ気持ちも生活も整ってきました。そして、看護師という仕事が「続けたいもの」に戻りました。
もし今、不安や迷いがあるなら――その気持ちに、きちんと向き合ってみてください。あなたの未来は、きっと変わります。

日勤メインで生活リズムが安定した
転職後、何よりも実感したのが「生活リズムの安定」です。
以前は夜勤や不規則なシフトが続き、寝不足が当たり前。身体のだるさが抜けず、休日も疲れを取るだけで終わってしまっていました。「また夜勤か…」とカレンダーを見るたびにため息。そんな毎日でした。
でも、今は日勤のみの勤務。朝決まった時間に起きて、決まった時間に退勤できる。生活が規則正しくなることで、驚くほど気持ちも落ち着いたんです。
「朝ごはんを食べる余裕ができた」「寝起きの頭痛がなくなった」「週末の予定が立てやすい」――そんな小さな変化が積み重なって、毎日の満足度が大きく変わりました。
特に30代は体調の変化を感じやすくなる年代。だからこそ、安定した勤務形態が心と体の両方を整えてくれるんだと、実感しています。
体力的な負担が軽くなった理由
30代になると、「若い頃とは違うな」と体力の衰えを感じる場面が増えてきます。
私も以前は、夜勤明けでも買い物に寄ったり、休みの日に出かけたりできていました。でも30代に入ってからは、夜勤があると体の疲れが抜けず、腰痛や慢性的なだるさがつきまとうように。無理がきかなくなってきたんです。
転職後、勤務先は日勤中心で、肉体的なハードさが大きく軽減されました。急性期病棟のようなバタバタした緊急対応も少なく、ナースコールも落ち着いている環境。自然と身体にかかる負担も減りました。
また、残業がほとんどない職場に変わったことで、帰宅後に「休む時間」がしっかり確保できるように。体をいたわる時間が持てることで、心の余裕にもつながっています。
「疲れを引きずらない日々」って、実はすごく贅沢なんだと気づきました。
人間関係のストレスから解放された
看護師として働く中で、思った以上に心をすり減らしていたのが「人間関係」でした。
以前の職場では、先輩との関係やチーム内の空気感に気を遣いすぎて、仕事よりも「うまく立ち回ること」に疲れてしまうことも…。一度トラブルが起きると職場全体に影響が出ることもあり、「今日の空気、大丈夫かな?」と常に周囲をうかがっていた自分がいました。
転職先のクリニックでは、スタッフの人数が少なく、それぞれが自立して働いているのが印象的でした。ギスギスした上下関係がなく、フラットでオープンな雰囲気。「今日は●●さんと一緒だから安心」と思える日が増えました。
もちろん、どの職場にも人間関係の課題はありますが、「ここなら自然体でいられる」と感じられる職場に出会えたことで、精神的なストレスは大きく減少。毎朝「行きたくない…」と悩む日がなくなったのは、本当に大きな変化でした。
収入が下がっても得られた精神的ゆとり
転職を考える上で、やはり気になるのは「収入」の問題。私自身も夜勤手当がなくなることは分かっていたので、転職後の給与が下がるのは覚悟していました。
実際、月収ベースで見ると、夜勤をこなしていた頃より手取りは少なくなりました。でも、それ以上に大きかったのは「心のゆとり」です。
今は残業もほとんどなく、時間通りに退勤できることが当たり前に。家に帰ってから、夕食を作り、ゆっくりお風呂に入り、眠る前に好きな本を読む時間もできました。そうした“当たり前の暮らし”ができることが、こんなにも満たされるものだとは思いませんでした。
「お金よりも時間」「効率よりも気持ち」――そう感じるようになったのは、30代という年齢と、看護師としての経験を重ねてきた今だからこそかもしれません。
キャリアアップよりも「働きやすさ」重視
20代の頃は、「もっとスキルを磨きたい」「認定看護師を目指したい」など、キャリアアップへの意欲が強かった私。
でも30代に入ってからは、日々の忙しさや体の疲れ、人間関係のストレスのなかで、少しずつ価値観が変わってきました。
「出世や資格より、今の自分が穏やかに働けることのほうが大事かもしれない」
そう気づいたのが、転職活動の中でした。
転職先には、訪問看護やクリニック、企業内看護師など、選択肢がいろいろあります。私は「勤務時間」「人間関係」「通勤距離」など、生活とのバランスを重視して外来クリニックを選びました。
結果的に、「専門性を極める道」ではなく、「自分に合った無理のない働き方」を選んだことで、看護師の仕事自体がもっと好きになれたんです。
職場の責任範囲が変わるリスクもある
転職で働きやすさが手に入った一方で、思わぬギャップを感じたのが「業務内容の違い」でした。
新しい職場に入ってすぐは、「今までの経験があるから大丈夫」と思っていたのですが、実際に配属されると、これまで経験したことのない業務を任される場面もあり、戸惑うこともありました。
また、病棟勤務ではなかった“委員会”や“係”の仕事があったり、逆に今まで当たり前だったリーダー業務がなくなったりと、責任範囲が大きく変わることも。
特に30代は「即戦力」と見られることも多く、職場によっては最初から頼られやすい立場に置かれる可能性があります。だからこそ、面接時には「どんな役割を期待されていますか?」「配属後の業務内容を詳しく知りたいです」といった確認をしておくことが大切です。
自分の「できること」と「求められること」がすれ違わないように、入職前のすり合わせはしっかりしておきましょう。
ライフスタイルに合わせた職場選び
30代になると、家庭の事情や自分の健康、将来設計など、ライフスタイルの優先順位が変わってきます。
「夜勤がつらくなってきた」「子どもの送り迎えに合わせた働き方がしたい」「自分の時間を確保したい」――そんな気持ちが出てくるのは自然なことです。
だからこそ、転職では「職場の条件」と「今の自分の生活」をきちんと照らし合わせることが重要です。
勤務時間や休暇制度、シフトの柔軟性、職場の雰囲気、通勤時間など、自分の暮らしに合った職場を選ぶことで、無理なく働き続けることができます。
私自身も、今の生活リズムに合う職場に変えたことで、「仕事を続ける覚悟」ではなく「続けたいという気持ち」に変わりました。仕事も生活も、どちらも大切にできる働き方は、きっと見つけられます。
面接で必ず確認したい「働き方の実態」
求人票やホームページには「日勤のみ」「残業ほぼなし」と書かれていても、実際には職場によって働き方の“温度差”があります。
転職で後悔しないためには、面接時に職場の実態をしっかり確認することがとても大切です。
たとえば、こんな質問を用意しておくとよいでしょう。
- 実際の残業時間は月にどのくらいか
- シフトの決まり方や希望休の取りやすさ
- 1日の業務の流れ(何時に何をするか)
- 人間関係やチーム構成について
- 急な休みに対応できる体制があるか
また、可能であれば「職場見学」もお願いしてみましょう。実際のスタッフの雰囲気や働く姿を見ることで、「この職場で自分が働くイメージ」がつかみやすくなります。
30代の転職は、“条件だけで選ばない”視点がとても大切です。あなた自身が無理なく、気持ちよく働けるかどうか――そこにしっかり向き合って選んでください。