「ママ、見ててね!」──看護師ママが転職で手に入れた“当たり前の日常”
「また、ママ来られないの?」
小2の娘が、下を向いてぽつんとつぶやいたあの日のことを、私は今でも忘れられません。
私は急性期の病棟で夜勤ありの常勤看護師として働いていました。30代後半、2交代制で残業も多く、夜勤明けでも記録やカンファレンスに追われる日々。そんな働き方では、子どもの行事に合わせて有休を取るのも一苦労でした。
特に運動会──。
3年連続で参加できなかった私は、家族観覧席の写真に自分の姿がないのを見ては、胸がギュッと締めつけられる想いでした。娘は文句ひとつ言わない。でも、その背中から伝わる「寂しさ」を、私は痛いほど感じていたのです。
「こんな生活、いつまで続けるの?」
その問いが積もりに積もって、ついに転職を決意。看護師専門の転職サービスに登録し、担当者に真っ先に伝えたのは「子どもの運動会に行ける職場を探しています」という正直な気持ちでした。
少しわがままかもと思ったけれど、担当者の答えは力強いものでした。
「お子さんの大事な時間に立ち会いたいのは当然のことですよ。そんな働き方、十分可能です」
紹介されたのは、小児科クリニックや訪問看護ステーション。私は最終的に、週4日勤務・日勤のみ・土日休みという条件の訪問看護を選びました。
迎えた転職後初めての運動会の朝。5時に起きてお弁当を作り、娘と一緒に登校。観覧席の最前列にブルーシートを敷いて待っていたその時──。
娘がスタートラインに立ち、振り向いて笑いながら言ったんです。
「ママ、見ててね!」
その瞬間、私は涙をこらえるのに必死でした。3年間の後悔と葛藤が、あの一言ですべて報われた気がしたのです。
今は残業ほぼゼロ、17時には退勤し、夕飯を一緒に食べて、絵本を読んで一緒に眠る日々。もちろん収入は少し減りました。でも、それ以上に手に入れた“家族と過ごせる毎日”は、何にも代えがたいものです。
「看護師は家庭を犠牲にする職業」と思い込んでいたけれど、それは“職場の選び方”で変えられるのだと、今なら心から言えます。

運動会に参加できた看護師ママたちのリアルな声
運動会を優先できる職場に転職した理由
子どもの成長を見逃したくなかったから
子どもの行事に参加できない看護師ママの多くが感じているのは、「この瞬間を見届けたい」という強い思いです。仕事は大切。でも、かけがえのないわが子の成長は、今しかありません。多くのママナースが、「我が子の一生に一度の姿を見逃したくない」との気持ちから、働き方を見直し始めています。
前職では有休が取りにくかったから
看護師はシフト制で、特に病棟勤務では人員のやりくりが厳しく、有休取得に理解がない職場もあります。「子どもの行事に合わせて休むなんてわがままだ」と言われた、という声も少なくありません。そんな環境に限界を感じて、子育てと両立しやすい職場へ転職を決意した人が多いのです。
実際に運動会に参加できた転職体験談
日勤のみクリニックに転職したケース
あるママナースは、総合病院から小児科クリニックへ転職。日勤のみ・完全予約制の勤務体制により、事前に予定を調整できるようになりました。運動会の日はしっかりお休みを確保でき、家族全員で参加できたと話します。「朝からお弁当を作って、シートを敷いて、子どもと一緒に応援できたことが本当にうれしかった」と、その喜びを語っていました。
非常勤勤務に切り替えたママナースの声
常勤勤務から非常勤へシフトすることで、シフト希望の自由度が大きくなったという声も多く聞かれます。「平日だけ週3日働き、学校行事や家族の用事に合わせて働けるスタイルが合っている」と話すママナースも。収入は多少減ったものの、心の余裕や家族の笑顔を取り戻せたという実感があるようです。
運動会に参加しやすい看護師の転職先とは?
転職先選びのポイントは「シフトの柔軟さ」
訪問看護やデイサービスなど日勤中心の職場
看護師が子どもの運動会に参加するには、やはり「日勤のみ」で働ける職場が重要です。訪問看護ステーションやデイサービスでは、基本的に夜勤がなく、土日休みのシフト制が採用されていることが多いため、家庭の予定と調整しやすい傾向にあります。週4日勤務など柔軟な働き方も可能で、「行事に合わせて働く」ことを前提に職場選びをする人が増えています。
有休消化率の高い病院・施設
「シフト制=休めない」と思いがちですが、有休取得を積極的に勧める職場もあります。有休消化率が高い病院や施設は、スタッフのライフイベントにも理解があり、「事前に相談すれば運動会に行ける」環境を整えているところも多いです。求人情報で有休取得率が記載されている場合は、要チェックポイントです。
託児所付きや子育て支援がある医療機関もおすすめ
育児支援制度やママナース比率の高さが鍵
働きながら子育てをするママナースにとって、院内託児所の有無や、ママナースの割合が高い職場かどうかも重要な判断材料です。同じ立場のスタッフが多ければ、子どもの行事や急な発熱にも理解があり、シフト調整も柔軟に対応してもらえることが多くなります。「お互いさま」の文化が根付いている職場は、精神的な負担も少なく、安心して働き続けられます。
子育てと仕事を両立するための転職成功術
求人検索時のチェックポイントを押さえる
「有休取得率」「夜勤なし」などの条件に注目
看護師求人を探す際には、「シフトの自由度」や「有休の取りやすさ」が明記されているかが重要です。とくに「有休取得率80%以上」や「夜勤なし」「残業ほぼなし」といった記載のある求人は、子育て中の看護師にとって働きやすい可能性が高いです。また、勤務時間が固定されている職場(例:9時~17時)も、生活リズムが安定しやすくおすすめです。
転職エージェントを活用して希望条件を通す
担当者に「運動会優先」を正直に伝える
希望の働き方を叶えるには、転職エージェントの力を借りるのも有効です。とくに看護師専門の転職サービスでは、子育て中のニーズを理解した担当者がつくことが多く、「子どもの運動会に参加したい」「平日だけ働きたい」といった要望も、堂々と伝えてOK。実際にその条件を受け入れてくれる求人を探してくれるため、自分ひとりで探すよりも効率的でミスマッチも減らせます。
後悔しない看護師転職のために大切なこと
柔軟な働き方でも収入ややりがいは確保できる
非常勤や派遣でも資格を活かせる職場は多い
常勤から非常勤、あるいは派遣勤務へと切り替えると、収入面に不安を感じる方も多いかもしれません。でも実際には、訪問看護や健診業務、クリニック勤務など、資格を活かしつつ働ける選択肢は豊富です。経験やスキルがあれば、限られた時間でもしっかり評価されるケースも多く、時間の制約があっても“看護師としてのやりがい”を実感できます。
転職後も人間関係が良好だと行事参加しやすい
同僚もママナースなら気兼ねなく相談できる
実際の働きやすさを左右するのは、勤務条件だけでなく「職場の雰囲気」や「人間関係」です。とくにママナースが多い職場では、子どもの行事や急な休みにも理解があり、「お互いさま」という風土が根づいています。同じ立場の仲間がいることで、気兼ねなく相談でき、子育てとの両立に対する罪悪感も減少します。転職先を選ぶ際には、職場の雰囲気や働くスタッフ層も意識すると安心です。